不動産登記制度不動産とは、土地と建物のことを指します。大切な財産である土地や建物の物理的状況と所有者や債権者を公示する制度を不動産登記制度といいます。
たとえばある土地について、それがどこにあって、どんな土地なのか?面積は?誰が持っているのか?...といった情報を、国が公の帳簿(不動産登記簿)に記録し、またその形を地図に記録し、これを誰にでも公開する制度です。不動産登記法は、この制度と事務手続きを定めた法律です。
不動産登記簿登記簿は法務局に保管されている公示するための帳簿であり、種類は多数あります。登記簿の中に、不動産登記簿があります。不動産登記簿には土地と建物の2種類があり、表題部(表示部)には不動産の物理的状況である、土地では地番・地目・地積、建物では種類・構造・床面積が記載されています。所有権等権利に関することも記載されています。
不動産登記簿では、住居表示ではなく、地番・家屋番号順に編綴されています。
不動産表示登記不動産登記簿を作成するにあたり、最初に行う登記です。たとえば、建物を新築した場合などに不動産登記簿の表題部になされる登記を「不動産表示登記」といいます。
土地については「所在、地番、地目、地積」、建物については「所在、家屋番号、種類、構造、床面積」が表示されます。これらを登記簿に記載することによって、不動産の客観的現況をそのまま公示し、権利に関する登記(所有権、担保権等の登記)が正確かつ円滑に行われることが期待できます。
地番地番とは、土地の一筆(土地登記簿上で一個の土地とされているもので、土地を数える単位)ごとにつけられた番号のことです。地番での表記では、市、区、町、村、字に当たる地域によって地番区域が定められています。
地目土地を主たる用途によって区分したもので、不動産登記法では区分が次の21種類に定められています。
田・畑・宅地・塩田・鉱泉地・池沼・山林・牧場・原野・墓地・境内地・運河用地・水道用地・用水路・ため池・堤・井溝・保安林・公衆用道路・公園・雑種地
地積登記された土地の登記簿上の土地面積のことをいいます。登記簿の表題部に記載されています。昭和の登記簿で記載されている地積と、実測面積とが違う場合があります。そのため売買契約では、実測完了後に売買の決済を実行する旨の契約を結ぶ場合が通例のようです。
家屋番号法務局が不動産登記法上の建物に付する番号です。一つひとつの建物を識別するための番号です。原則として、地番区域ごとに、建物の敷地と同一の番号となります。
たとえば、甲建物がA市B町一丁目二番にあると、家屋番号は「二番」となります。ただし、甲建物と同じ敷地に乙建物が新築されたときは、家屋番号は「二番の二」となります。
建物種類建物の利用形態により決まります。建物を特定するための一つの要素として、登記事項とされています。種類の名称は、不動産登記法で37種類の定め方が規定されています。
建物構造建物の主たる構成材料、屋根の種類、階数によって建物を特定する要素として、登記事項とされています。構造の名称は不動産登記法で規定されています。
建物床面積不動産登記法上で定められている建物の3大要件に合致した建物の床面積のことで、床面積の定め方は不動産登記法が規定されています。建築基準法上の床面積とは異なることがあります。
(建物の3大要件)
1.屋根及び周壁又はこれに類するものを有している
2.土地に定着した建造物である
3.建物が目的する用途に供し得る状態にある
公図登記所に備え付けられている土地の図面であり、土地の形状や地番、道路、水路や隣接地との位置関係がわかるように作られたものです。登記所に備え付けられていた旧土地台帳法所定の土地台帳附属地図を、不動産登記法17条の「地図に準ずる図面」として利用し、公図と呼んでいます。
公図の精度については、一般的には、土地の位置および区画を現地に特定する現地復元能力は低いとされています。しかし、境界が直線であるか、あるいは土地がどのように位置しているかなど、定性的な面では比較的正確で唯一の資料です。距離、角度、面積など、定量的な面では、精度が低いとされています。
土地の境界土地の境界とは、土地と土地の境目のことをいいます。土地と土地の境目に境界標で境界が明確に表示されます。境界は、土地の範囲を定めて土地の権利を守る重要な境界線となります。
境界には、地番の境界を示す「筆界」と所有権の境を示す「所有権界」の2種類があります。
境界標境界標と境界標を結んだ線が境界線です。隣地との境界で、地面に境界線が引かれてはいません、何か目印がなければ隣地と境界は区別できません。境界標とはこの「目印」のことです。
境界標は境界線の折れた境界点に設置します。これにより境界標と境界標を結ぶ線が境界線となります。境界標の種類には、コンクリート杭、金属標、鉄鋲、刻み、御影石等があります。
筆界「筆界」とは「公法上の境界」ともいわれ、 最初に地番が付されたときや土地を分割する登記等で固定される境界線です。筆界は土地所有者間で決めたり変えたりすることはできません。
所有権界「所有権界」とは「私法上の境界」ともいわれ、 所有権と所有権の境のことで、隣接地の所有者間で合意された境界線です。
公法上の境界「筆界」と私法上の境界「所有権界」は、元々一致していましたので現在も一致している場合が多いと言えます。しかし、一筆の土地の一部を売買したにも関わらず、分・合筆登記がされていないとか、土地の一部が時効取得されたとかで「筆界」と「所有権界」が一致しなくなってしまった土地があります。このような土地は、将来境界紛争になる可能性を秘めた土地です。境界紛争を未然に防ぐためには、過去の経緯を知っている人が元気なうちに「筆界」と「所有権界」を一致させることをお勧めいたします。
筆界特定筆界特定とは、土地の所有者の申請により、法務局の筆界特定登記官が、外部の専門家(筆界調査員)の意見を踏まえて筆界を特定する制度(筆界特定制度)です。
筆界特定制度を活用することによって、公的な判断として筆界を明らかにできるため、隣人同士で裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。
ADR法裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律でADR法とは、ADR(Alternative Dispute Resolution:訴訟手続以外の紛争解決手段)の制度と促進に関する法律。平成16年12月1日に公布、平成19年4月1日に施行されました。ADR促進法、裁判外紛争解決法とも呼ばれています。
厳格な裁判制度に適さない紛争の解決手段として、今後多くの利用が見込まれる裁判外紛争解決としての仲裁、調停、斡旋などを促進することで、国民がより身近に司法制度を利用できるようにすることを目的としています。
土地の境界に関するADRでは、土地境界の専門家であるADR認定土地家屋調査士と、法律の専門家である弁護士をメンバーとした民間型境界紛争処理機関が、境界問題を筆界・所有権界の両面からとらえて調停を目指します。
木塚事務所はADR認定土地家屋調査士が在籍しています。